© KOTOBUKIYA
©KOTOBUKIYA / FAGirl Project
【本文】
「…なんでホビージャパンさんが『フレームアームズ・ガール』のデカールを販売することになったんですか?」。
とても数多く寄せられた疑問です。確かに当人である私も、経緯を簡単にまとめるなら「運がよかったから」としか言いようがないのですが…。
その発端は第1回にて少し触れましたが、私が商品開発担当となったことに起因しています。現在展開している完成品ミニカーなどといったスケール寄りの流れとはまた別に、キャラクターやツールなどといったアイテムをホビージャパン・ポストホビーの商品として開発すべし! というのが基本的な骨子ではあったのですが、その時点ではチームといっても実質的には一人。加えて開発という面においてはド素人ですから、途方に暮れたのも事実。実際色々な方の元へ赴き、可能性を探る日々が始まったのです。特にプロモデラー諸氏の意見は「なるほど」と思わせるものも多く、その発見を多少なりとも懇意の各メーカーにて開発を手掛ける諸先輩方へ意見としてぶつけてその感想をいただくなど、今後実現し得る可能性の萌芽も少しずつ増えていったのであります。
しかし、開発の世界というのはそれほど甘くなく、またある程度の期間で一定の実績を求められるのも「仕事」ですから、あまりのんびり構えていることもできません。できることは限られていますし、その限られた手段の中で模索するしかない厳しい時期でした…「夜も眠れない」とはあながち冗談ではありません。
そんな中で思い出したのが、このムックです。
小社より2017年に発売された「ホビージャパンエクストラ 2017 Summer」です…あ、本のほうじゃなく、付録のほうです。このムックには付録として(株)壽屋様のオリジナルロボットコンテンツ『フレームアームズ』のスピンオフシリーズとして発売されているプラモデル『フレームアームズ・ガール』シリーズに対応する、オリジナルカラーの水転写式瞳デカールが付属していました。この時期はアニメ展開も真っ盛りで、ホビーシーンに『フレームアームズ・ガール』旋風が巻き起こっていたこともあり、私が知るかぎりでもとても良好な売れ行きとなっていました。
アニメ以前も極めて人気の高かった『フレームアームズ・ガール』は、アニメの人気も相俟って現在に至るまで常にホビーファン注目を集めています。また、アニメ展開よってキットを購入した人も多く、そういった人達が「自分だけのフレームアームズ・ガール」を製作するための一助として購入したのでは?と考えられます。実際私も付録のデカール欲しさに買いましたし。
さて、この際にちょっとした問題が発生します。この付録デカールはキットに付属しているものの色変更版であり、まずキットと同形同色のものは存在していません。ひとつの例でいえば、フレズヴェルクのノーマルのと同型のものは、アーテルと同カラーのブルーは入っていますが、グリーンとオレンジはアーテルのかたちのものしか付属していません。つまり、ノーマルのフレズヴェルクの形状で、グリーンとオレンジのものは存在しないわけです。その結果がこちら。
…緑と青のみ見事に無くなっています。FAガールは瞳のタンポ印刷がとても綺麗でそのまま楽しむぶんには問題ないのですが、いざ「カスタマイズとして瞳の色を変えよう」と考えた場合、制限が大きくなります。フレズヴェルクの瞳は薄い紫なので、例えば上からクリアーカラーなどで上塗りして赤系に振ることはできても、緑系など系統が異なる場合は下地を生かすことはできません。となると、その色をガイドに塗装する…となるのでしょうが、正直簡単にいかなくなります。
…ならばその考えを元に「『フレームアームズ・ガール』の瞳だけをカラーバリエーションとして水転写式デカールをキャラクター別に発売すれば喜ばれるのではなかろうか?」と、企画したわけです。
当然社内でも「無理じゃない?」と意見が大半でした。といってもほかに思いつく企画がない以上簡単に諦めるわけにもいかず、その企画を版権元である壽屋の『フレームアームズ・ガール』担当の方々に提案することになったわけですが、担当N氏からの返事は意外なものでした。
「いいですよ」
………………………え!?
(後編に続く)
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